「もろみ」(漢字がでません)
前回、出来上がった「酒母」、「麹」、「水」を混ぜてどろどろした状態を
「もろみ」といいます。
今回はその「もろみ」についてです。
ここでは一般的な「3段仕込み」の課程を解説します。
●初添え
1日目の作業です。
「酒母」、「麹」、「水」を混ぜたところに、「蒸米」を入れます。
初添えは「第2の酒母」といわれるように、眠っていた酒母中の「酵母」の活
性を呼び戻し、増殖させる大事な作業です。
「オーイ酵母君、仕事だぜ!」
そのため次に仕込む「仲」、「留」より仕込み直後の温度を高めにする必要が
あります。
普通12〜13℃になるように投入時の蒸米の温度を、加減しなければなりま
せん。
●踊り
2日目です。
初添えの翌日、1日休んで「酵母」の増殖を待ちます。
「酵母君、元気を取り戻すんだ!」
●仲添え
3日目です。
「踊り」の翌日、さらに麹と蒸米、水を加えます。
仕込み後の温度は「初添え」より低めで9〜10度になるようにします。
●留添え
4日目です。
仲添えの翌日、さらに麹と蒸米、水を入れます。
仕込み後の温度は7〜8度になるようにします。
「酵母君、寒いけど風邪ひくなよ!」
このように4日間にわたり3段階の仕込みをすることを「3段仕込み」といい
ます。
3回に分けないでまとめて1回で仕込めば簡単ですが、「酵母」が極端に薄め
られて発酵することが難しくなります。
そのため面倒でも段階をふんで仕込みます。
●仕込み後
仕込みが終わった後は、「もろみ」の温度が「発酵熱」によって徐々に上がっ
ていきます。
10日目頃、予定の最高温度に達するようにして、その状態を5日〜10日く
らい持続させます。
ここで「もろみ」の温度を上げればアルコール発酵が進みますので、早くお酒
ができますが、いかんせんそれでは思うような美味しいお酒はできません。
普通、最高温度(15度前後)が低いほど端麗なお酒ができやすいとされてま
す。放っておくとアルコール発酵の際に、発熱するため「もろみ」の温度はど
んどん上がります。そのため温度管理が大変重要です。
昔は温度が上がりすぎると、タンクの周りを氷で冷やしたりしてましたが、現
在「サーマルタンク」(外側が2重になっていて冷水などを入れられる)が普
及してます。
「温度」を上げれば「アルコール」はすぐできますが、「美味しいお酒」には
なりにくいようです。
「温室育ちのお坊ちゃま」より、「苦労してきた子供」のほうが「味」がある
といったところでしょうか。
●やるせない
今まで頑張ってきた「酵母」(この後も)ですが、アルコール度数が上がるにつ
れだんだんと活動が弱まります。「弱まる」というより、死滅してしまうんで
す。
「酵母」みずから「アルコール」を造りながら、自分自身が造った「アルコー
ル」によって己の命を全うするとはなんともやるせません。
一同合掌・・・
おかげで毎晩、「酵母君の恩恵」にあやかっている私です。