麹(こうじ)づくり
前々回で米を蒸し上げるところまでお話しました。(とびとびで申し訳ござい
ません)
続いての作業、麹づくりのお話です。
一麹、二元、三造りといわれる様に酒造りには麹づくりが一番大切な作業で
す。その出来映え次第でお酒の味を左右するほどです。
ところでみなさん何のために麹づくりをするかご存知ですか?
これ非常に大事な事ですので、よく覚えてください。
実は麹が無いとお酒にならないのです。
アルコール発酵をするためには糖分が必要となりますが、あいにくお米には糖
分がありません。
ご存知の様にお米の成分はほとんどが炭水化物(でんぷん質)です。
その炭水化物(でんぷん質)を糖化させるために、麹づくりをします。
ちょうど人間が栄養を吸収するのに似ていると思います。
ご飯を食べると唾液や胃液によって炭水化物(でんぷん質)を分解して、体に
吸収しやすいブドウ糖に変えてから栄養として取り入れると、確か習ったと記
憶してます。(間違っていたらごめんなさい)
そう考えると太古の時代に、口の中で咀嚼したお米からお酒ができたという話
も納得がいきます。
それではいよいよ本題です。
冷まされた蒸し米は早速、麹室へ運ばれます。
この麹室の室温は真冬でも35度前後に保たれており、入室したとたん熱気を
感じます。
そのため上半身裸で作業する事もしばしばあります。(テレビか写真で見た人
も多いのでは)
まず台の上にお米をまんべんなく広げます。この時均等に広げる事がポイント
です。
次に広げたお米の上に麹菌(俗に「もやし」と言います)を降りかけます。
(俗に「種付け」と言います)
こちらもむらが出ない様にまんべんなく降りかけますが、簡単な様でいてなか
なか難しい作業です。
降りかける動作ですが、蔵元や土地柄の違いによって色々な方法があるようで
す。ざる状の容器(目は細かい)に入れて少しづつ振りかけたり、布で包んで
(てるてる坊主を逆さまにした状態)指先ではじいて麹菌を出す方法がありま
す。
大概1人でやるのですが、2人でしているのを見た事があります。
少し高めに「てるてる坊主」を逆さまに持ち指ではじいたあとに、後ろにいた
もう1人が扇子で空中に漂う麹菌をあおいでやるのです。
2人の連携が素晴らしかったです。
この方法を見たときは、昔からの伝統の儀式を垣間見た思いでした。
お茶やお花の様に○○流ってあるのでしょうか?
ご存知の方、ご連絡ください。
無事麹菌を振り終えてからがまた大変です。
頻繁に温度をチェックしなければなりません。
麹菌がお米の成分、炭水化物(でんぷん質)を分解する際に発熱をします。
順調に温度が上がるようでしたら問題無い(上がり過ぎはだめ)のですが、発
熱が弱くて温度が上がらない場合は毛布や布団をかけてやります。
2時間に1回はチェックしなければならないので、夜中もおちおち寝ていられ
ません。
チェックのたびに毛布をかけたりとったり、温度を均等にするため積む順番を
変えたりと神経を使います。
まるで生き物を扱っているのと同じです。
私の様に「酔っぱらって朝までぐっすりさん」には、ちょっと無理ですね。
こうして出来上がった麹は、以外にもパラパラとした感じで、手にしてもくっ
つかないし、水分も思ったより少ないです。
試しに食べてみると、少し甘味を感じる事ができます。
麹菌が頑張ったおかげです。
これでアルコールを発酵する準備ができました。
次はいよいよタンクで仕込まれます。
今回は以上です。
今回の麹づくりですが、同じ醸造酒のワインは原料のぶどうが糖分を持ってい
るためこの作業は必要ありません。
それだけ日本酒って手がかかるのですね。
そういえば「精ぶどう」もないし、「蒸しぶどう」もないのに今気づきまし
た。